相続手続きの流れを徹底解説|死亡後に行うべき手順とスケジュール
家族が亡くなった後、悲しみの中でも数多くの手続きに追われる――そんな経験をされた方は少なくないでしょう。「何から始めればいいかわからない」「期限を過ぎてしまわないか不安」という声をよく耳にします。相続手続きには法定の期限が設けられているものも多く、知らずに放置すると思わぬ不利益を招くことがあります。
この記事では、相続手続きの全体像をステップ順に整理し、各期限や注意点をわかりやすく解説します。個別の事案によって対応が異なりますので、ご自身の状況に合わせて弁護士にご相談いただくことをおすすめします。

瀨田法律事務所代表 瀨田督祥
(札幌弁護士会所属|登録番号 60164)
死亡直後にすること(7日以内)
死亡届の提出
人が亡くなると、死亡を知った日から7日以内に死亡届を市区町村の窓口に提出する必要があります。死亡診断書(または死体検案書)と死亡届を合わせて提出します。死亡届が受理されると火葬許可証が発行され、埋葬へと進めます。
葬儀社が代行してくれるケースも多いですが、提出者(届出義務者)は同居の親族・同居者・家主など、法令で定められた者に限られます。
年金・健康保険の停止手続き
被相続人が年金を受給していた場合、死亡後の受給停止手続きが必要です。手続きが遅れると過払い分の返還を求められることがあります。健康保険の資格喪失届も早めに対応しましょう。
相続人・相続財産の調査(3か月以内)
相続人の確定
誰が相続人になるかを正確に把握するために、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本(除籍謄本・改製原戸籍謄本を含む)を取り寄せます。婚姻前の子や認知された子がいる場合など、予想外の相続人が判明することもあります。
相続財産の調査
プラスの財産(預貯金・不動産・有価証券など)だけでなく、マイナスの財産(借金・保証債務など)も漏れなく調べることが重要です。借金の存在を知らずに相続を承認してしまうと、後から放棄することが原則としてできなくなるため、注意が必要です。
遺言書の確認と検認
相続手続きを進める前に、遺言書の有無を確認します。
- 自筆証書遺言・秘密証書遺言:家庭裁判所での「検認」手続きが必要です(法務局の遺言書保管制度を利用している場合は不要)。
- 公正証書遺言:検認不要で、すぐに内容を確認できます。
遺言書の内容は遺産分割の方向性を大きく左右します。開封前に弁護士に相談することで、手続きのミスを防ぎやすくなります。
相続放棄・限定承認の検討(3か月以内)
被相続人に多額の借金がある場合などは、相続放棄や限定承認を検討します。いずれも「相続の開始を知った日から3か月以内」に家庭裁判所へ申述することが必要です。
この期限を過ぎると原則として単純承認(すべての財産・債務を引き継ぐ)とみなされます。ただし、事情によっては期限の延長が認められる場合もあります。個別の事案によって判断が異なりますので、早めに弁護士にご相談ください。
準確定申告(4か月以内)
被相続人が生前に得た所得(給与・不動産収入など)については、相続人が代わって確定申告を行う必要があります。これを準確定申告といい、相続の開始を知った日の翌日から4か月以内が申告・納税の期限です。
申告が必要かどうかは被相続人の収入状況によって異なります。詳しくは税務署や弁護士にご確認ください。なお、税務申告については税理士の管轄業務となる部分もありますが、相続手続き全体の流れについては弁護士にご相談いただけます。
遺産分割協議の進め方
協議の基本ルール
遺言書がない場合や、遺言書に記載のない財産がある場合には、相続人全員で遺産分割協議を行い、誰がどの財産を取得するかを決めます。相続人が1人でも欠けると協議は無効となるため、全員の参加が必要です。
協議書の作成
合意に至ったら、内容を遺産分割協議書としてまとめ、相続人全員が署名・実印での押印を行います。この書類は、預貯金の解約や不動産の名義変更など後続の手続きで必要になります。
協議がまとまらない場合
相続人間で意見が対立したり、連絡の取れない相続人がいたりして協議がまとまらない場合は、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てることができます。調停でも解決しない場合は審判へと移行します。このような場面では、弁護士に依頼することで交渉の負担を大幅に軽減できる場合があります。
名義変更・相続登記の手続き
不動産の相続登記
2024年4月1日の法改正により、不動産の相続登記が義務化されました。相続を知った日から3年以内に法務局への申請が必要です。正当な理由なく怠った場合には10万円以下の過料が科される可能性があります。
預貯金・有価証券の名義変更
金融機関ごとに必要書類が異なります。一般的には戸籍謄本・遺産分割協議書・印鑑証明書などが求められます。手続きの手順は金融機関のウェブサイトや窓口で確認するか、弁護士に一括して依頼することも可能です。
※法改正により内容が変わる可能性があります。最新情報は法務局や弁護士にご確認ください。
相続税の申告・納付(10か月以内)
相続税の課税対象となる場合は、相続の開始を知った日の翌日から10か月以内が申告・納税の期限です。基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超える財産がある場合に申告義務が生じます。
申告期限を過ぎると延滞税・加算税が課される場合があります。相続財産の評価や税額計算は複雑なため、早期に準備を始めることが重要です。
よくある質問(FAQ)
Q1. 相続放棄の3か月の期限は、いつから数えますか?
「相続の開始を知った日」から起算します。多くの場合は被相続人の死亡を知った日ですが、連絡が遅れた場合などは知った日が異なる場合もあります。また、財産調査に時間がかかる場合は家庭裁判所に期限の伸長を申請することができます。個別の事案によって異なりますので、早めに弁護士にご相談ください。
Q2. 遺産分割協議は必ず対面で行う必要がありますか?
相続人が全員参加していれば、書面や電話・メールを通じた方法でも協議は可能です。ただし、最終的には全員の署名・押印がある遺産分割協議書の作成が必要です。離れた場所に住む相続人がいる場合でも手続きを進められます。
Q3. 相続人の中に音信不通の人がいます。どうすればよいですか?
遺産分割協議には全員の参加が必要なため、音信不通の相続人がいると協議が進められません。この場合、家庭裁判所に不在者財産管理人の選任を申し立てるか、失踪宣告の手続きを利用する方法があります。状況に応じた対応が必要ですので、弁護士にご相談ください。
Q4. 相続登記を自分で行うことはできますか?
法律上は相続人本人が自分で申請することも可能です。ただし、必要書類の収集や申請書の作成には手間がかかり、書類に不備があると手続きが遅れることもあります。複数の不動産がある場合や相続人が多い場合は、弁護士への依頼を検討されることをおすすめします。
Q5. 相続税がかかるかどうかわかりません。どう判断すればよいですか?
まず、相続財産の総額が基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超えるかどうかが目安になります。ただし、財産の評価方法や各種控除・特例の適用によって税額は大きく変わります。個別の事案によって異なりますので、早めに弁護士または税務署にご確認ください。
まとめ
相続手続きは、死亡後7日以内の死亡届から始まり、3か月以内の相続放棄の検討、10か月以内の相続税申告まで、時系列で多くの手続きが続きます。以下に主なスケジュールを整理します。
| 期限の目安 | 手続きの内容 |
|---|---|
| 7日以内 | 死亡届・年金停止 |
| 3か月以内 | 相続人・財産調査、相続放棄・限定承認 |
| 4か月以内 | 準確定申告 |
| 随時 | 遺産分割協議・名義変更 |
| 相続を知った日から3年以内 | 相続登記(義務) |
| 10か月以内 | 相続税申告・納付 |
期限を守りながら適切に手続きを進めるためには、早い段階で全体像を把握することが大切です。個別の事案によって必要な手続きや優先順位は異なりますので、不明な点は弁護士にご相談いただくことをおすすめします。
※本記事は2024年4月施行の相続登記義務化を含む最新の法令をもとに作成しておりますが、法改正により内容が変わる可能性があります。最新情報は弁護士または関係機関にご確認ください。
相続手続きでお困りの方へ
相続手続きについてお悩みの方は、まずは瀨田法律事務所への無料相談をご検討ください。「何から手をつければよいかわからない」「相続人同士でもめそうで不安」「期限が迫っていて焦っている」など、どのようなお悩みでも構いません。一人で抱え込まず、ぜひお気軽にご相談ください。
本記事は一般的な法律情報の提供を目的としており、個別事案に対する法的アドバイスを行うものではありません。具体的なお悩みについては、弁護士にご相談ください。
なお、法改正等により内容が変更される可能性がありますので、最新情報は公的機関・弁護士へご確認ください。
